Fusion House / フュージョンハウス
横手市郊外の住宅街に建つ平屋住宅。隣家からのプライバシーを確保しながらどれだけ開放的な居住空間が計画出来るかという課題に対し、単なる現実的な空間の開放性だけではなく、住み手にとっての現実的な空間〈リアル〉と概念的な空間〈アンリアル〉との距離・関係性を再定義し両空間の『融合』をはかり、それによって新たに生まれる複合的な空間《リアルでもありアンリアルでもある空間》領域が広がっていくような開放性を目指しました。
内外空間の「境界」が滲みやがて融合していく建築
敷地南側の庭は、境界擁壁により囲まれその高低差により南方からの視線を防御していて、敷地で唯一直接隣家に面しないプライバシーが確保された空間となっており、擁壁上段の並木により調光された木漏れ日が庭一面に降り注いでいます。この南側庭スペースに向けてリビング大窓を配置し、その窓廻りに扇型に立体加工を施した鏡面庇を設置します。
鏡面庇に映し込まれる画像は、内外の人の相対的な位置・時間・季節により様々な変化を見せます。
ある時は、外部要素である庭や擁壁の並木が映り込みます。
ある時は、内部要素である住み手の生活模様や家具が映り込みます。
ある時は、両者どちらともが映り込みます。
●CONCEPT IMAGE
内外の領域を現実的に区分していた窓周囲の「境界」が多様に、時には 非現実的 に変容し・・・
やがて内外要素を区分していた概念の「境界」までもが 滲みだし、〈リアル〉と〈アンリアル〉がさまざまな濃淡を見せてじんわりと『溶解』されていきます。
●COMPOSITION SKETCH
●GROUND FLOOR PLAN
リビングに外部空間を複写・貼付け〈コピペ〉していく
平面計画として、南側庭の緑体スペースを取り込んだリビングを中心にして北・東・西3方に隣家からの視線を躱すようにリビング以外の部屋を点在させていきます。これにより出来た小さな部屋どうしの隙間を坪庭とし、メインの南側を含め多方向からの外部要素【採光・通風・緑体】の取入れを図ります。
また、リビング大窓廻りの鏡面庇や、LDK中央に配置した鏡面袖壁により、多方向から取入れた外部要素を複写〈コピー〉し室内空間にランダムに貼付け〈ペースト〉していき、リビング空間を 外部緑体 や 木漏れ日 でいっぱいにしていきます。
この空間では、実写〈リアル〉と複写〈アンリアル〉が同時に展開されていきます。
Fusion House / フュージョンハウス |
用途 | : | 専用住宅 |
所在地 | : | 秋田県横手市 |
構造 | : | 木造 平屋 |
敷地面積 | : | 333.10㎡ (100.63坪) |
建築面積 | : | 122.51㎡ (37.01坪) |
延床面積 | : | 130.01㎡ (39.28坪) |